クレーンのガーダ(主桁)を支え、レールの上を走行させるサドルは、常に大きな振動と横行時の衝撃にさらされています。サドル本体の歪みや車輪軸受の摩耗を放置すると、クレーン全体が蛇行し、レールや建屋に過大な負荷を与えるだけでなく、最悪の場合はサドルの破損や脱輪を招きます。
クレーン等安全規則に定められた「走行装置の構造部分」に基づいた、具体的な点検項目を解説します。
1. サドルとガーダの連結ボルト(高力ボルト)
ガーダとサドルを繋ぐ部分は、クレーンの剛性を維持する最も重要な接合点です。
- 基準:ボルトの緩み、脱落、および座金の共回りがないこと
- 点検のポイント: 走行の起動・停止時に「パキン」という金属音や不自然な振動がないかを確認します。ボルトが1本でも緩むと、接合面に「こすれ」が生じ、穴の変形やボルトの破断を招きます。
2. 車輪軸受(ベアリング)のガタと異音
車輪の回転を支える軸受は、全荷重を受け止める過酷な部位です。
- 点検項目:走行中に「ゴロゴロ」「キー」という異音が発生していないか
- 異常の判定: 軸受部の温度が異常に高い場合や、グリスが漏れ出している場合は、内部の転動面が損傷しています。軸受のガタはフランジの異常摩耗を引き起こし、蛇行走行の直接的な原因となります。
3. サドルフレームの変形と亀裂
鋼板を溶接して作られたサドル箱体そのものの健全性を確認します。
- 基準:溶接部やコーナー部分に亀裂(クラック)が認められないこと
- 歪みの確認: 長年の使用や衝突によりサドルが歪むと、左右の車輪の平行度が狂います。これにより、片側の車輪だけがレールに強く押し付けられ、走行抵抗が激増します。
4. サイドローラ(横当てローラ)の摩耗
レールの側面をガイドするサイドローラがある場合、その摩耗状態を確認します。
- 基準:ローラがスムーズに回転し、著しい偏摩耗がないこと
- 調整: レールとの隙間が適切でないと、常にレールを削り続け、走行モーターに過負荷をかけます。
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サドルの部品交換やアライメント調整を行った後は、実際に定格荷重を載せて全域走行を行い、左右のサドルが同調してスムーズに動くかを確認する実荷重試験が不可欠です。無負荷では真っ直ぐ走っているように見えても、最大荷重がかかった際にサドルの歪みや軸受の異常が顕著に現れ、蛇行や異音として検知できるからです。
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