クレーンのサドル部分に組み込まれている走行車輪は、クレーン自体の自重とつり荷の全荷重を支えながらレールの上を走行します。車輪の摩耗が進むと、走行時の蛇行や異音が発生するだけでなく、最悪の場合、レールからの脱輪やサイドローラ、ベアリングの破損を引き起こします。
クレーン等安全規則に定められた「走行装置の点検」に基づいた、具体的な管理ポイントを解説します。
1. 車輪踏面の摩耗限界
レールと直接接する車輪の表面(踏面)は、走行を繰り返すことで厚みが減少します。
- 基準:車輪踏面の厚さが新品時の20%以上減少しているもの
- 異常の判定: 表面に「ピーリング(剥離)」や深いキズがある場合、レールとの接触が不安定になり、走行振動が建屋全体に伝わります。
2. フランジ(縁)の摩耗と形状
車輪の両端にあるフランジは、クレーンがレールから外れないようにガイドする役目を持ちます。
- 基準:フランジの厚さが新品時の50%以上減少しているもの
- 偏摩耗の原因: 左右の車輪径に差があったり、レールのスパンが狂っていると、片側のフランジだけが異常に削れる「片減り」が起きます。フランジが薄くなりすぎると、急な横圧がかかった際にレールを乗り越えて脱輪する危険があります。
3. 車輪の「平行度」と「直角度」
サドルに組み込まれた車輪が、レールに対して真っ直ぐ向いているかを確認します。
- 点検項目:車輪がハの字や逆ハの字(アライメント異常)になっていないか
- リスク: わずかな角度のズレでも、走行時にレールを削り続け、モーターへの負荷増大や車輪寿命の極端な短縮を招きます。
4. ギヤ付車輪の歯面摩耗
駆動側の車輪(ギヤ付車輪)の場合、駆動ギヤとの噛み合い状態も重要です。
- 点検:歯面に十分なグリスがあり、異常な削れや欠けがないか
- 動作: バックラッシ(遊び)が大きすぎると、起動・停止時に「ガタン」という衝撃が発生し、車輪軸やベアリングを痛めます。
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車輪の交換やアライメント調整を行った後は、実際に定格荷重を載せて全域走行を行い、スムーズに直進するかを確認する実荷重試験が不可欠です。無負荷では問題なくても、最大荷重がかかった際に車輪がレールに強く押し付けられ、摩擦抵抗や蛇行が顕著に現れることがあるからです。
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